★★★★★
俳優・奥田瑛二の長女で映画監督の安藤桃子が、実妹・安藤サクラを主演に起用した初の姉妹タッグ作品で、自身の介護経験から着想を得て書き下ろした小説を
映画化した人間ドラマ。介護ヘルパーの山岸サワは、派遣先の家族から「冥土の土産におじいちゃんと寝てほしい」との依頼を受ける。しかしその当日、サワは
ある事件に巻き込まれ、家も金も仕事も全てを失ってしまう。人生の崖っぷちに立たされたサワは、訳ありの老人を見つけては介護を買って出る、押しかけヘルパーとして生きていくことになる。共演に柄本明、坂田利夫、草笛光子、津川雅彦ら。(http://eiga.com/movie/80677/より)
個人的には今年は邦画がかなり当たり年で、中でも本作はトップに位置する面白さだった。しかし邦画に関して言えばあまりにも有象無象の作品が多すぎるので僕自身が「自分好みの作品を嗅ぎ分ける嗅覚」を体得しただけなのかもしれない……
高知を舞台に繰り広げられるこの作品は安藤サクラ演じる介護士の視点を通じて、ゆくゆくはこの日本が行き着く先の未来を描いている。
息子たちの財産争いに悩まされる老人、コツコツ貯めた金を怪しい投資に持ちかけられる老人、痴ほうの妻に悩まされる老人……
全員が社会への居心地の悪さを抱き、孤独感を感じている。
その老人の元へ安藤サクラ演じるサワはほとんど押し掛けるかたちで介護にいそしむ。
正直そのコミュニケーション能力、家事スキルがあれば別の仕事や果ては良き主婦にでもなれそうなのに、彼女はなぜか「老人の介護」にこだわる。
そして彼女のキャラクターの魅力の凄まじさ。
大げさな表現になるかもしれないが、もはや神聖な雰囲気すら感じてしまう立ち居振る舞いだ。
一見すると老人の弱みに付け込んでは家に住み着いているようにしか見えないのだが(つまりは恐喝です)、彼女が行うととてもコミカルで笑えてしまう。無邪気さに惹かれるのだろうか。
介護にこだわる理由や、彼女の雰囲気に関しては後々の展開で納得させられるシーンがあるのだが、そこに見える悲しさもいいと感じてしまう。
シーンの画も一つひとつが丁寧で、監督の映画愛が感じられるシーンもチラホラ。
何より監督と主演の姉妹の母親がフードコーディネーターを行っており、サワの作るご飯は半端なく美味そうだ。食にほとんど興味がない僕が反応するくらいだから、相当のことだと思う。
老人を演じた俳優陣も多種多様に素晴らしかったが、津川雅彦の独白(パンフレットには7分間とある)が凄まじかった。
ネタバレになってしまうので伏せるが「アルツハイマーで自分の記憶を無くしても、戦争については忘れられない」ことが見る側からすると本当に衝撃だ。
原作本を読んでいなかったので読む楽しみも増えた。感謝したい。
2014年11月25日火曜日
2014年11月24日月曜日
ザ・レイド GOKUDO
★★★★
インドネシア発のバイオレンスアクションとして話題となった「ザ・レイド」の続編で、今作では、警察と政界支配を目論むアジアンマフィア、そして勢力拡大を狙う日本のヤクザの三つ巴の戦いを描く。上層部の命令を受け、潜入捜査官として生きることになった新人警官のラマは、名前を偽り、マフィアのボスの息子 ウチョの信頼を得て組織の一員になる。しかし、父親に反発するウチョが組織内で成り上ろうと企てた陰謀により、ラマは対立する日本人ヤクザとの抗争や果てしない戦いに巻き込まれていく。監督は前作に引き続き、イギリス出身でアジアを拠点とするギャレス・エバンス。松田龍平、遠藤憲一、北村一輝らが日本人ヤ クザとして出演。(http://eiga.com/movie/78171/より)
前作がヤクザマンションで繰り広げられるクローズド・アクションもので上映時間105分というシンプルな構成だったのに対し、今作はなんと上映時間は146分。これだけで作品の方向性がかなり違うだろうなと感じていたが予想以上に別物の映画となっていて驚いた。
まず今作は序盤の導入が長い。具体的には主人公が潜入捜査官になりマフィアのドラ息子に取り入るまでの流れだが、上記のあらすじを読んでおけば始めの30分は寝ていてもOK、といった感じだ。
一方でアクションはかなり多彩になっており、主人公も潜入捜査官=表向きはマフィアの用心棒なのを良いことに襲ってくる敵はほとんど殺してしまってる。
前作の「誰が死ぬのか分からない」緊張感も捨てがたいが、今作の街中でのバトルも相当に面白い。カメラアクションが秀逸で一瞬どのアングルで撮られているのか分からないシーンが多いのだが、これは吹っ飛ばされた人が「自分がどこにいるのか」を分からない様を上手く表現している。
そして最高なのが物語後半のカーチェイスシーン。ありとあらゆるアイデアで、出てくる人物全員が徹底的に痛めつけられており、もはやギャグとなっているが人間の発想力の素晴らしさたるや! といった内容。
敵陣営もバットとボールでノックの容量で人を殺す背の低い男や、鋭利なハンマーで殴っては切り裂く聾唖の女、と一昔前のマンガみたいな設定のキャラが平気で出てくるが、画づくりの説得力で見る側は納得してしまうのもこの映画の魅力。
ただ正直このシリーズに脚本を求めているかと言われると1ミリも求めていなく、凝ろうとしているのは分かるが相当面白くない+分かりづらかった。
日本からの俳優もスポンサー枠感が尋常じゃなく、ミスリードな邦題も最悪。
次があるのならヤクザの徹底参戦+原点回帰のクローズドアクションを楽しみたいけど……この条件を満たすとなると『殺し屋1』の実写化になってしまう!!
インドネシア発のバイオレンスアクションとして話題となった「ザ・レイド」の続編で、今作では、警察と政界支配を目論むアジアンマフィア、そして勢力拡大を狙う日本のヤクザの三つ巴の戦いを描く。上層部の命令を受け、潜入捜査官として生きることになった新人警官のラマは、名前を偽り、マフィアのボスの息子 ウチョの信頼を得て組織の一員になる。しかし、父親に反発するウチョが組織内で成り上ろうと企てた陰謀により、ラマは対立する日本人ヤクザとの抗争や果てしない戦いに巻き込まれていく。監督は前作に引き続き、イギリス出身でアジアを拠点とするギャレス・エバンス。松田龍平、遠藤憲一、北村一輝らが日本人ヤ クザとして出演。(http://eiga.com/movie/78171/より)
前作がヤクザマンションで繰り広げられるクローズド・アクションもので上映時間105分というシンプルな構成だったのに対し、今作はなんと上映時間は146分。これだけで作品の方向性がかなり違うだろうなと感じていたが予想以上に別物の映画となっていて驚いた。
まず今作は序盤の導入が長い。具体的には主人公が潜入捜査官になりマフィアのドラ息子に取り入るまでの流れだが、上記のあらすじを読んでおけば始めの30分は寝ていてもOK、といった感じだ。
一方でアクションはかなり多彩になっており、主人公も潜入捜査官=表向きはマフィアの用心棒なのを良いことに襲ってくる敵はほとんど殺してしまってる。
前作の「誰が死ぬのか分からない」緊張感も捨てがたいが、今作の街中でのバトルも相当に面白い。カメラアクションが秀逸で一瞬どのアングルで撮られているのか分からないシーンが多いのだが、これは吹っ飛ばされた人が「自分がどこにいるのか」を分からない様を上手く表現している。
そして最高なのが物語後半のカーチェイスシーン。ありとあらゆるアイデアで、出てくる人物全員が徹底的に痛めつけられており、もはやギャグとなっているが人間の発想力の素晴らしさたるや! といった内容。
敵陣営もバットとボールでノックの容量で人を殺す背の低い男や、鋭利なハンマーで殴っては切り裂く聾唖の女、と一昔前のマンガみたいな設定のキャラが平気で出てくるが、画づくりの説得力で見る側は納得してしまうのもこの映画の魅力。
ただ正直このシリーズに脚本を求めているかと言われると1ミリも求めていなく、凝ろうとしているのは分かるが相当面白くない+分かりづらかった。
日本からの俳優もスポンサー枠感が尋常じゃなく、ミスリードな邦題も最悪。
次があるのならヤクザの徹底参戦+原点回帰のクローズドアクションを楽しみたいけど……この条件を満たすとなると『殺し屋1』の実写化になってしまう!!
2014年11月23日日曜日
『フラテルニテ』体験版をやってみて
はじめに
アダルトゲームを初めてやりました。(といっても体験版ですが…)以前から『ユーフォリア』なる作品が面白い、と聞いてたのだけどなかなか購入するハードルが高く……。
時期を逃していたら、『ユーフォリア』と同じレーベルからの最新作が本作『フラテルニテ』だとのことで、体験版をダウンロードした次第です。
なにぶん初めてのエロゲープレイは新鮮で(ビジュアルノベルはいくつかプレイしましたが)、プレイしていて少し思ったことがあったので、ここに書き留めておこうかと。
ブラックな就労環境で更新が覚束ない中、久々の更新記事がエロゲーの記事という末期具合にドン引いている方、ごめんなさい。
ユーザーからの低評価
まずはじめに得た情報が、前作『ユーフォリア』(というと語弊があるかもだけど)の評価が軒並み高いのに対して、『フラテルニテ』はあまり高くないということ。とはいってもエロゲーのレビューサイトなんて見たこともないし知らないので、情報源はAmazonのレビューなんだけども。
要因は色々あるようなのだが、僕自身ネタバレを避けながら読んでいるので分かったことといえば「シナリオが短い」「救いがない」「スカ◯◯がエグい」など。これらは『ユーフォリア』と比較したユーザーがそういった結論に至ったようです。
そうなると『ユーフォリア』をやっていないし、できれば『ユーフォリア』のネタバレも読みたくない人間にとっては評価が低くてもフラットに本作をプレイできるな、と感じチョロっとやってみた次第です。
ゲーム本編(といっても体験版だけ)
![]() | |
| プレイ前はメガネの委員長が好みでした(今は特になし) |
※体験版しかプレイしていないのであくまでそこから汲み取れるものしか書いていません。体験版以降の展開により本編に違いがある場合はごめんなさい。
本作のあらすじを紹介すると、強姦被害にあった主人公の姉が「住み慣れた街から離れたい」と家族に言ったことを機に新しい街へ引っ越し、その引っ越し先にある新興宗教的な組織に姉が入れ込んでしまい、そこから姉を助け出したいが苦悩する主人公の奮闘……といった感じです。
なぜ主人公が苦悩するのか? というと実は彼の転校先の学校の知り合いのほとんどがその新興宗教に入れあげており、自分の協力者がいないからです(別に引っ越し先の街全体がその宗教に染まっているわけではなく、あくまで主人公の周りのクラスメイトたちだけのよう。ちょっと御都合主義ですね)。
その新興宗教がまたトンデモカルト集団で、(まぁエロゲーなんで当然の展開なんですが)ほぼ乱行サークルなんですね(しかも大麻的なのを焚きながらブッかましてるっぽい)。
その組織を仕切っているのが50代くらいの見た目は温和な紳士なんですが、いざそのシーンになると調教口調になってすんげーキモい。その時だけおっさんの音声がオフになるのは制作サイドの配慮みたいだけど、そもそもシチュエーション的に「無理!」と思い僕は高速クリックでやり過ごしました。
そこで強姦被害にあい、心を傷付けたはずの姉が見知らぬおっさんと行為に及んでいる様を主人公が見てしまい(それ以上のトンデモ展開になりますが、詳しくは体験版で!)、当然ながら困惑するのですが、メインヒロインぽい登場人物から言われるとある一言が強烈です。
「あの人たちはセックスをすることで幸せになれる。大勢の人の前で不特定多数の人と行為に及んで悦ぶ姿は、社会的には相応しくないのかもしれないけど、そこで幸せを得ている人たちからその権利を奪う自由があなた(主人公)にあるの?(かなり意訳です)」
「それでも俺は姉さんを救いたい!」と主人公は言うのですが、画面向こうの僕としてはとてもはっとさせられた気分になりました。このやり取りに実は本作のテーマがあるのでは? と思ったのです。
好きなものを楽しむ自由
制作サイドが意図しているか分かりませんが、これは言わばエロゲーファン的な「(世間から見ると)インモラルな趣味を楽しんでいる人たち」へも通ずる考えであるな、と思いました。
どういうことかというと「はたから見ると気持ち悪いものは犯罪につながるから根絶だ!」という流れの中で、ゲームやアニメが規制対象にされかねない現状と、この主人公の考える「常識」と、現に救われている人がいる「新興宗教」の関係に非常に似ていると感じるわけです。
モラルに囚われるだけじゃ救われない人間が一定数いる。他人に迷惑をかけなきゃ個室の中でくらい逸脱させてくれ。それで人生が(広義の意味で)救われているのだから。
しかしこの物語にエロゲーをやっているユーザーを当てはめると、「新興宗教」側の人間になってしまう。一方ユーザーは主人公目線、つまり「規制する側」としての目線でゲームプレイをします(実は群像劇タッチなので視点はシーンごとに他のキャラになったりもするのですが…あくまで物語全体の目線の話です)。
そうなると無意識的にこのゲームのストーリー(というかメタファー?)に拒否反応を起こしてしまうのでは、とエロゲー童貞の僕は感じました。
でもこうやって考えてみると、この作品は非常に面白い問題提起をしているんだなと感じます。そうなると「救いのない物語=規制のない世界」は実はユーザーにとっては「ある意味での救いの物語」になるんじゃないか…みたいな逆転現象が起こりうるわけで。
たとえばエロゲー好きのタカシくん(30歳・童貞)が親戚のおっさんに「タカシくん、いつまでもアニメの女の子に欲情してないでいい加減結婚しなさい!」みたいな説教をかまされたら当然「余計なお世話だよ!」と怒るわけです。
これだけならまだしも「あいつは小学生好きのヤバいやつだ…」みたいな風評被害が回ったらそれこそたまったもんじゃないです。
個人の嗜好の話と『フラテルニテ』 の物語を同じ次元で話すなよ、と突っ込まれそうですが極限まで突き詰めると地続きである、と言い切っても過言じゃない。
現に主人公に対し姉が「あなたがどう思っていても、サークルの迷惑になるような噂を撒かないでね!」と怒るシーンがあります。
彼女も世間一般から見れば後ろめたい行為を自分がやっている、ことは認識しているわけです。
ですがそれについて迷惑している人はいない、むしろ救われていると思っているからこそ自分のコミュニティを守りたい、昨今の2次元コンテンツ産業の象徴のような構図になっているようでとても切なくなりました。
そして…
ここまで長い文書いておいて、一つ問題なのが「お前は製品版を買うのか問題」なのですが、正直なところ非常に迷っています。これがハードカバーの本で2千円くらいのものであれば即買いなのですが、エロゲーって高えのな。
PS4のゲームソフトくらいの値段がするので、まず財布的な問題で迷っています。
もう一つが「買うことで一線越える感あるな」的な話です。僕自身アニメは好きだし、ゲームもちょくちょくやるし、多分これよりハードコアな小説も読んだことあるし、、と考えれば「いけるやん!」ってなると思うのですが、踏ん切りが付かず……あと、あのショップの独特な雰囲気に気圧されます(「店には行ってんのかい!」には「はい。」と潔く答えます。ちなみにソフマップです)。
まぁこれはTSUTAYAののれんゾーンも似たようなもんか……。
皆さんにはこのブログにプレイ後記事が上がったかどうかで判断していただければ…と思います。
ちなみにこの記事、非常にまじめなタッチで書きましたが、実際プレイすると思わず笑っちゃうシーンが多いです。洗脳されたことを過剰に表現する演出なのかもしれませんが、そこを含めて笑っちゃいます。
ちなみに検索をかけていたら開発者インタビューに引っかかり…。
あくまでも「実用ゲー」とのこと。
まぁ価値観は人それぞれですから。
2013年10月15日火曜日
凶悪
★★★★☆
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。(http://eiga.com/movie/77879/より)
非常に高水準なクライムムービーにして、さまざまな要素で“真の善悪”を受け手に考えさせるよう巧みに作られた映画だ。
そして陰惨な事件が起きる現場の終末感しか感じさせないロケーションや、山田孝之から脇役のさらに脇役に至るまでハマりすぎているキャスティングが素晴らしい。ピエール瀧とリリー・フランキーの韓国映画の悪役にも引けを取らない「凶悪」ぷりといったら温和そうな顔でCMに出ている彼らを二度と信用できないほどのクォリティだ。
残忍な殺人方法と、それを直視する映像は実際に本編を観てもらうことにして、ここで取り上げたいのは次第に“正義”の名のもとに事件に異常な執着心を見せる山田孝之扮する藤井の常軌を逸した行動だ。認知症で時には暴力も振るいだす母の世話を妻に任せっきりで彼女の相談にも取り合わず、自分は仕事に付きっきり。挙句の果てには飛び切りの大ネタを追うのに必死になるあまり、警察に捕まってしまう。
面会(というか身元引受)に妻が現れ、彼とついにまともに話しあうシーンは、本作の“人間ドラマ”の側面としてはハイライトとなっている。
「この事件を追えば被害者の魂は救われるんだ!」と藤井は言う。だから俺が仕事に追われ、事件を追うことは正しいのだと。
しかし妻は「死んだ人の魂なんかどうでもいい。生きている私を救ってよ」と嘆く
(藤井は母を施設に預けてしまうことに負い目を感じており、妻の提案をうやむやにしてきていたのだ)。
社会正義の執行に酔っていた彼は、目の前の家庭の平穏すら守らず、逃げている。殺人者が悪だとしても、追う側の人間は必ずしも善とは言い切れない。単なる探偵ものにせず「善なる人間などいないのに、人が人を悪として裁いていいのか」という根源的なテーマにまで踏み込んでいる。
事件の行方も気になるところだが、藤井が自身の家庭にいかなる決断を下すのかも見ものだ。
ヴァイオレンスムービーファンも満足の(?)陰惨としか言いようのない犯罪シーンも当然見どころである。
しかし、見慣れている人ならむしろ受け入れられるような映像の作りになっているが、むしろ池脇千鶴演じる藤井の妻の介護疲れでドンづまっている演技の方がリアルでまったく笑えない。
そして、まるで高村薫の小説に出てくる剛田刑事ばりの泥臭い捜査で真相を突き止めるシーンの各所もさることながら、上記の「真の善悪」を問いかけられる最後のシーンの迫力たるやすさまじい。
ある人物(まぁ当然藤井なんだけど)がまるで法廷に立っている被告人のように見せる演出は、セリフと相まって見事としか言いようがない。
ノンフィクション部分の要素だけでは単なるクライムムービーだったが、藤井の家庭や心理なども抉り出すフィクション部分の味付けでゆるぎない傑作になったと思う(とか言ってるが原作未読のためどこまでがフィクション部分なのかは分かりませんので間違っていたらすみません)。
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。(http://eiga.com/movie/77879/より)
非常に高水準なクライムムービーにして、さまざまな要素で“真の善悪”を受け手に考えさせるよう巧みに作られた映画だ。
そして陰惨な事件が起きる現場の終末感しか感じさせないロケーションや、山田孝之から脇役のさらに脇役に至るまでハマりすぎているキャスティングが素晴らしい。ピエール瀧とリリー・フランキーの韓国映画の悪役にも引けを取らない「凶悪」ぷりといったら温和そうな顔でCMに出ている彼らを二度と信用できないほどのクォリティだ。
残忍な殺人方法と、それを直視する映像は実際に本編を観てもらうことにして、ここで取り上げたいのは次第に“正義”の名のもとに事件に異常な執着心を見せる山田孝之扮する藤井の常軌を逸した行動だ。認知症で時には暴力も振るいだす母の世話を妻に任せっきりで彼女の相談にも取り合わず、自分は仕事に付きっきり。挙句の果てには飛び切りの大ネタを追うのに必死になるあまり、警察に捕まってしまう。
面会(というか身元引受)に妻が現れ、彼とついにまともに話しあうシーンは、本作の“人間ドラマ”の側面としてはハイライトとなっている。
「この事件を追えば被害者の魂は救われるんだ!」と藤井は言う。だから俺が仕事に追われ、事件を追うことは正しいのだと。
しかし妻は「死んだ人の魂なんかどうでもいい。生きている私を救ってよ」と嘆く
(藤井は母を施設に預けてしまうことに負い目を感じており、妻の提案をうやむやにしてきていたのだ)。
社会正義の執行に酔っていた彼は、目の前の家庭の平穏すら守らず、逃げている。殺人者が悪だとしても、追う側の人間は必ずしも善とは言い切れない。単なる探偵ものにせず「善なる人間などいないのに、人が人を悪として裁いていいのか」という根源的なテーマにまで踏み込んでいる。
事件の行方も気になるところだが、藤井が自身の家庭にいかなる決断を下すのかも見ものだ。
ヴァイオレンスムービーファンも満足の(?)陰惨としか言いようのない犯罪シーンも当然見どころである。
しかし、見慣れている人ならむしろ受け入れられるような映像の作りになっているが、むしろ池脇千鶴演じる藤井の妻の介護疲れでドンづまっている演技の方がリアルでまったく笑えない。
そして、まるで高村薫の小説に出てくる剛田刑事ばりの泥臭い捜査で真相を突き止めるシーンの各所もさることながら、上記の「真の善悪」を問いかけられる最後のシーンの迫力たるやすさまじい。
ある人物(まぁ当然藤井なんだけど)がまるで法廷に立っている被告人のように見せる演出は、セリフと相まって見事としか言いようがない。
ノンフィクション部分の要素だけでは単なるクライムムービーだったが、藤井の家庭や心理なども抉り出すフィクション部分の味付けでゆるぎない傑作になったと思う(とか言ってるが原作未読のためどこまでがフィクション部分なのかは分かりませんので間違っていたらすみません)。
2013年10月14日月曜日
SNEEEZE 『ASYMMETRY』
★★★★
01. Intro (Pro.SNEEEZE)
02. Goodbye Bitch (Pro.CHRIS GR3EN)
03. I Go (Pro.TND)
04. S.G.H (Pro.The Beatzz)
05. Money Or Love (Pro.774 for DIGITAL NINJA RECORDS)
06. Dramatic (Pro.TDC)
07. Change (Pro.Jay Beatz)
08. Whale (Pro.Jay Beatz)
09. Say So (Pro.TND)
10. Skit -Wave- (Pro.SNEEEZE)
11. I'm In Night (Pro.PUNPEE)
12. Crying (Pro.Keybord Kid)
13. Outro (Pro.SNEEEZE)
ネット上で作品を発表し、一躍有名になった神戸のラッパー、SNEEEZEの初フィジカル作品。
2013年4月17日発売。
アルバム発売前から配信されていたM-2の出来栄えからアルバムの期待値は上がっていたが、リリースされた本作も期待を裏切ることのない作品だった。
スニーズは以前ネット上に発表していた作品はどちらかというとスケールの大きいテーマでラップしていた印象が強いが、本作はリリース直前にMVが発表されたM-9などからもわかるように身の回りの、特に恋愛をテーマにしたナイーブな曲が多い。地に足の着いた、というと語弊があるが聞く側も感情移入しやすく、彼の持ち味であるスムースなフロウも相まってサクッと聞きとおせる。
彼のフロウは一聴するとメロディアスだが、現行のUSの流れを汲んだ“抜き”が絶妙で日本語を崩さずに本場使用で歌い上げる技術、先人だとSIMON、同世代だとSALUなどがいるが彼らを凌駕していると個人的には思う。
どの曲も情景描写が巧みでM-2のサビのドラマティックさといったらない。
面倒くさがって別れた「Bitch」への解放感と未練が交差する矛盾した、しかし人間くさい内面を巧みに描いたバース部分も聞き逃せない。
一方で従来の「現状打破」系の曲であるM-3や7、未来を見据えた視点を深海を進むクジラにたとえたM-8も配信の時よりもスムースになったフロウを堪能できる。
本作は客演がいなかったが、セカンド以降は他のラッパーとのがあるのか、今後も期待したところだ。
M-7 “Say So”
M-2 “Good^bye Bitch”
01. Intro (Pro.SNEEEZE)
02. Goodbye Bitch (Pro.CHRIS GR3EN)
03. I Go (Pro.TND)
04. S.G.H (Pro.The Beatzz)
05. Money Or Love (Pro.774 for DIGITAL NINJA RECORDS)
06. Dramatic (Pro.TDC)
07. Change (Pro.Jay Beatz)
08. Whale (Pro.Jay Beatz)
09. Say So (Pro.TND)
10. Skit -Wave- (Pro.SNEEEZE)
11. I'm In Night (Pro.PUNPEE)
12. Crying (Pro.Keybord Kid)
13. Outro (Pro.SNEEEZE)
ネット上で作品を発表し、一躍有名になった神戸のラッパー、SNEEEZEの初フィジカル作品。
2013年4月17日発売。
アルバム発売前から配信されていたM-2の出来栄えからアルバムの期待値は上がっていたが、リリースされた本作も期待を裏切ることのない作品だった。
スニーズは以前ネット上に発表していた作品はどちらかというとスケールの大きいテーマでラップしていた印象が強いが、本作はリリース直前にMVが発表されたM-9などからもわかるように身の回りの、特に恋愛をテーマにしたナイーブな曲が多い。地に足の着いた、というと語弊があるが聞く側も感情移入しやすく、彼の持ち味であるスムースなフロウも相まってサクッと聞きとおせる。
彼のフロウは一聴するとメロディアスだが、現行のUSの流れを汲んだ“抜き”が絶妙で日本語を崩さずに本場使用で歌い上げる技術、先人だとSIMON、同世代だとSALUなどがいるが彼らを凌駕していると個人的には思う。
どの曲も情景描写が巧みでM-2のサビのドラマティックさといったらない。
面倒くさがって別れた「Bitch」への解放感と未練が交差する矛盾した、しかし人間くさい内面を巧みに描いたバース部分も聞き逃せない。
一方で従来の「現状打破」系の曲であるM-3や7、未来を見据えた視点を深海を進むクジラにたとえたM-8も配信の時よりもスムースになったフロウを堪能できる。
本作は客演がいなかったが、セカンド以降は他のラッパーとのがあるのか、今後も期待したところだ。
M-7 “Say So”
M-2 “Good^bye Bitch”
2013年10月11日金曜日
CUTS DA COYOTE 『ESCAPE TO PARADISE』
★★★★★
01. INTRO- (pro.HIDEHISA)
02. WATER & OXY feat.JOYSTICKK, JAZEEMINOR (pro.DJBA)
03. ESCAPE TO PARADISE feat.BUGASUMMER (pro.DJBA)
04. ASH TO ASH DUST TO DUST feat.DJ LAW (pro.DJBA)
05. HANDS UP SNEAKERHEADS feat.CAZINO(LUCK-END), OHLI-DAY(ICE DYNASTY) (pro.HIDEHISA)
06. CAN NOT SEE MY WEED (pro.LIL'諭吉)
07. ラブホなう feat.TOP(THUGMINATI) (pro.MONBEE)
08. WOMEN LIE MEN LIE feat.MICHO (pro.LIL'諭吉)
09. SKIT
10. BUGATTI VIRUS (pro.DJ アチャカ)
11. エエエエエエエメラ! feat.EMERALD (pro.DJBA)
12. WILL YOU STAY feat.KOWICHI, NIYKE ROVINZ (pro.YUTO.COM)
13. LIFE IS GOOD feat. MARIN (pro.DJBA)
14. TAKE2 AND 回そう (pro.DJBA)
15. IMAGINATHION feat.DJ601 (pro.DJ601)
エメラルドの首謀者的存在(といつもプロフィールに載っている)であるカッツ・ダ・コヨーテのデビューアルバム。2013年7月10日発売。
個人的年間トップの傑作。僕自身こういった路線の作品を好きになる時が来るとは思わなかったが、まんまとハマった。このままだと本当に年間ベストのトップになるだろう。
Amebreakのインタビューを読むとかなりの下積みを積んでいるようだが、「(専門学生の時)ちょうど、MEGUMIがグラビアに出てた時期で、『でっかいオッパイ……でっかい世界……』みたいなよく分かんない発想で、BIG WORLDってグループを作って」や、「BIG WORLDの後にサムライフってグループを組んだ」(いずれも凄まじいネーミングセンスだ)などといった作品に内在している思考回路は以前から健全だったようで現在組んでいるエメラルドも、「周りのソロでやってたラッパーが、みんなユニットとかクルーを組み出して、そこで取り残された連中が『俺たちもなんか作った方がいいのかな』って組んだのがEMERALD」という期待を裏切らない&一貫してブレない姿勢に感動した。
タイトルからも明らかなように本作はとことん快楽主義的な作品で、しかし決して内容は一人よがりではなくラップの向こうにリスナーがいることが意識されている。
その最たるものが先行シングルにもなったM-07だろう。
もはや流行りの言葉でも何でもない単語を曲名に持ってくる図太さもさることながら、実はDAB○の「降臨なう」よりも断然面白く聞かせてしまうセンスの良さ。この一周まわって最早フレッシュに聞かせてしまう感性が素晴らしい‼
ウェッサイの浮遊感を下地に、ひたすら楽園を求めてさまようかのようなカッツのラップは歌詞も聞き取りやすく、リスナーをありとあらゆる手段で陽気にさせようとする。
完全に旬を過ぎた姉妹が題材のM-06、クルーのポッセカットのはずなのにあまりにやる気の無さすぎるフックが逆に印象的なM-11など突っ込みどころ満載だがとにかく楽しく聞ける。
トラックのほとんどを手掛けたforte所属のDJBAも幅広いプロダクションもさることながら、アルバムのど真ん中を支えたLIL'諭吉も相変わらずいい仕事をしている。
程よく力の抜けるよう計算された、非常にクレバーなアルバム。
01. INTRO- (pro.HIDEHISA)
02. WATER & OXY feat.JOYSTICKK, JAZEEMINOR (pro.DJBA)
03. ESCAPE TO PARADISE feat.BUGASUMMER (pro.DJBA)
04. ASH TO ASH DUST TO DUST feat.DJ LAW (pro.DJBA)
05. HANDS UP SNEAKERHEADS feat.CAZINO(LUCK-END), OHLI-DAY(ICE DYNASTY) (pro.HIDEHISA)
06. CAN NOT SEE MY WEED (pro.LIL'諭吉)
07. ラブホなう feat.TOP(THUGMINATI) (pro.MONBEE)
08. WOMEN LIE MEN LIE feat.MICHO (pro.LIL'諭吉)
09. SKIT
10. BUGATTI VIRUS (pro.DJ アチャカ)
11. エエエエエエエメラ! feat.EMERALD (pro.DJBA)
12. WILL YOU STAY feat.KOWICHI, NIYKE ROVINZ (pro.YUTO.COM)
13. LIFE IS GOOD feat. MARIN (pro.DJBA)
14. TAKE2 AND 回そう (pro.DJBA)
15. IMAGINATHION feat.DJ601 (pro.DJ601)
エメラルドの首謀者的存在(といつもプロフィールに載っている)であるカッツ・ダ・コヨーテのデビューアルバム。2013年7月10日発売。
個人的年間トップの傑作。僕自身こういった路線の作品を好きになる時が来るとは思わなかったが、まんまとハマった。このままだと本当に年間ベストのトップになるだろう。
Amebreakのインタビューを読むとかなりの下積みを積んでいるようだが、「(専門学生の時)ちょうど、MEGUMIがグラビアに出てた時期で、『でっかいオッパイ……でっかい世界……』みたいなよく分かんない発想で、BIG WORLDってグループを作って」や、「BIG WORLDの後にサムライフってグループを組んだ」(いずれも凄まじいネーミングセンスだ)などといった作品に内在している思考回路は以前から健全だったようで現在組んでいるエメラルドも、「周りのソロでやってたラッパーが、みんなユニットとかクルーを組み出して、そこで取り残された連中が『俺たちもなんか作った方がいいのかな』って組んだのがEMERALD」という期待を裏切らない&一貫してブレない姿勢に感動した。
タイトルからも明らかなように本作はとことん快楽主義的な作品で、しかし決して内容は一人よがりではなくラップの向こうにリスナーがいることが意識されている。
その最たるものが先行シングルにもなったM-07だろう。
もはや流行りの言葉でも何でもない単語を曲名に持ってくる図太さもさることながら、実はDAB○の「降臨なう」よりも断然面白く聞かせてしまうセンスの良さ。この一周まわって最早フレッシュに聞かせてしまう感性が素晴らしい‼
ウェッサイの浮遊感を下地に、ひたすら楽園を求めてさまようかのようなカッツのラップは歌詞も聞き取りやすく、リスナーをありとあらゆる手段で陽気にさせようとする。
完全に旬を過ぎた姉妹が題材のM-06、クルーのポッセカットのはずなのにあまりにやる気の無さすぎるフックが逆に印象的なM-11など突っ込みどころ満載だがとにかく楽しく聞ける。
トラックのほとんどを手掛けたforte所属のDJBAも幅広いプロダクションもさることながら、アルバムのど真ん中を支えたLIL'諭吉も相変わらずいい仕事をしている。
程よく力の抜けるよう計算された、非常にクレバーなアルバム。
ラベル:
★★★★★,
CUTS DA COYOTE,
HIPHOP,
JAPANESE HIPHOP,
MUSIC,
RAP,
感想,
日本語ラップ
2013年10月9日水曜日
lyrical school 『date course』
★★★★
01. -drive-
02. そりゃ夏だ![作詞・作曲・編曲:tofubeats]
03. wow♪[作詞:ポチョムキン(from餓鬼レンジャー)/ 作・編曲:Fragment]
04. リボンをきゅっと[作詞・作曲・編曲:tofubeats]
05. 流れる時のように[作詞:呂布 / 作・編曲:ハシダカズマ(箱庭の室内楽)]
06. PARADE[作詞・作曲・編曲:tofubeats]
07. -turn-
08. でも[作詞・作曲・編曲:okadada]
09. P.S.[作詞:岩渕竜也 / 作曲:坪光成樹 / 編曲:高橋コースケ]
10. ひとりぼっちのラビリンス[作詞・作曲・編曲:tofubeats]
11. -taxi-
12. おいでよ[作詞・作曲・編曲:tofubeats]
13. Myかわいい日常たち[作詞・作曲・編曲:鴨田潤(イルリメ)]
2度のメンバーチェンジを果たしたヒップホップ・アイドル・ユニット、lyrical schoolのグループ名改称後の初となるアルバム。2013年9月18日発売。
国産ヒップホップリスナーと国内アイドルのリスナーの被り具合がSNSなどで明るみに出て(むしろ本人たちが出して?)久しいが、その二つの美味しいとこどり(?)とも言えるこのリリカル・スクールへの期待たるや凄まじいものだったのではないだろうか。
……とは言ったものの、僕自身彼女たちがまだtengal6名義のころの、タワレコ新宿店のインストアライブに行ったがそれはそれはひどいもので(というのもあぁいった駆け出しアイドルに付いてる“ファンの方々”にも衝撃を受けたが)音割れのするような、ライブでの使用に耐えられないスピーカーの分を差し引いても受け入れられるクォリティではなかった。
いわゆる日本のアイドルのノリについていけていないことも手伝って、まぁ名前が変わろうがメンバーが変わろうが取り敢えず頑張ってくださいな、程度のグループだった。
しかし今作のクレジットを見るとどうだろう。若手最有力のtofubeats(同い年です)を中心に(((さらうんど)))が絶好調のイルリメ、果てはAVのプロデュースをしていたポチョムキンすらも作家陣に名前を連ねている‼(以前からだけども、アルバムという曲数でこのクレジットを見るとやはり壮観)
何よりこのジャケットの素晴らしさ!(今年暫定1位!)
そしてアイドルらしからぬDVDすら付かない単品販売‼
結構音楽として勝負してるんじゃないの?と思いさくっと購入。
結果としてはだいぶ、いや予想を超える満足ぷりだった。
バースでメンバーが交互にかますラップは正直お粗末そのものだが(熱心なファンがこの拙い感じに興奮するのなら、そりゃ彼女たちに非の打ち所はなくなるね)、合唱形式のフックがどれも素晴らしい。
そこら辺はtofubeatsの童貞力(好き勝手に言ってすみません)がなせる業かと思うが、「『女の子の等身大の気持ちを表現した』と、思い込んでいる非モテの妄想の産物に過ぎない歌詞」という二重構造の歌詞がメルヘンでビートにハマってる。
あとアイドルポップというキャッチーでとっつきやすいジャンルも強いんだな、とつくづく実感。
ストーリー仕立てのアルバム構成もいいし、初っ端のM-2のフックにぶっ飛ばされたらノンストップで聞き通せる快作!
…ってことでさっそく今度のワンマンもお手並み拝見といきますか。。(←まんまとハマってる)
ラベル:
★★★★,
HIPHOP,
J-POP,
JAPANESE HIPHOP,
lyrical school,
MUSIC,
RAP,
アイドル,
感想,
日本語ラップ
2013年10月3日木曜日
環ROY 『ラッキー』
01. ワンダフル
02. Kids
03. そうそうきょく (Prod by 蓮沼執太)
04. 台風
05. little thing
06. VIEWER
07. 電車
08. いいやつ
09. date
10. 仲間
11. いまここ
12. YES (Prod by 蓮沼執太)
環ROYの通算4枚目のフルアルバム。
“ムラ社会”と揶揄されるヒップホップシーンに向けて痛烈なメッセージを放ったセカンド、その反動もあってか日常生活を背景に普遍的なメッセージを落とし込んだサード、そして本作はそんなサードの世界観を引き続き継承しつつ、ビートとロイのラップをさらに進化させた傑作だ。
「リリック」よりも「歌詞」、「作詞」に拘っているとロイは常々語っているが、本作は前作の「ハッピーバースデー」で見せた、「何気ない日常の描写」と「普遍的なメッセージ」の織り交ぜを見事成功させた作品と言っていいだろう。
前作はキャッチーな歌詞の「ハッピーバースデー」ばかり聞いていて、ほかの曲は取っ付きづらかった印象があったが、今作『ラッキー』は作品全体の風通しが非常に良く、すんなりと聞き通せる。
作曲陣にはもはやロイの作品には欠かせない□□□の三浦をはじめ、お馴染みのメンツが並んでいるが、中でもART-SCHOOLのトディこと戸高が参加している「Little Thing」が新機軸といえる曲だ。
ギターロック~チルウェイヴを通過したような、一聴するとあまりラップに適したトラックには聞こえないのだが、ロイの緩急の付いた“聞かせる”巧みなラップが乗ると実に「ヒップホップ」なサウンドに聞こえるから不思議だ。
この記事を書くために過去作も聴き通してみたが、作品を重ねるごとにラップに柔軟性が増している。
セカンドを聞いたときあまりのラップの上手さに衝撃を受けたが(それ以前のコラボEP集にも驚いていたが)、完全に過去の作品になっていた。ライブで過去曲がどのようにアップデートされるのかも楽しみである。(※後日渋谷WWWのワンマンを見に行きました。最高!)
登録:
投稿 (Atom)






