2014年2月2日日曜日

ドラッグ・ウォー 毒戦




★★★☆

香港ノワールの巨匠ジョニー・トーの監督50作目で、中国公安警察の麻薬捜査官がアジアをまたにかけた巨大麻薬組織の壊滅に挑む姿を描いたサスペンスアクション。中国・津海にあるコカイン製造工場で爆発が発生し、現場から逃走した車が衝突事故を起こす。車を運転していた香港出身のテンミンという男が病院に担ぎ込まれるが、麻薬捜査官のジャン警部は、テンミンが麻薬組織に大きなかかわりを持っていると察する。麻薬密造には死刑判決が下るため、減刑と引き換えでテンミンに捜査協力を要請したジャン警部は、テンミンの情報をもとに潜入捜査を開始。すると、中国全土だけでなく韓国や日本にまで勢力を拡大する麻薬シンジゲートと、その巨大組織を裏で操る「香港の7人衆」の存在が浮かび上がる。

106分ノンストップで続く、追う側と追われる側の銃撃戦三昧。

冒頭の薬の運び屋の一斉検挙のシーンで警察側のキャラクターが怒涛の勢いで紹介されるが、それぞれの役割が明確なのでスッと頭に入ってくる。非常に鮮やかだ。

ホテルでのハラハラとする潜入捜査の一連の流れや、売人側の異常な戦闘能力の高さなどどのシーンもクライマックス級の盛り上がりで見ごたえがあった。

ジョニー・トー作品は近年ものしか観ていないが、本作は緊迫したシーンでも思わず笑ってしまうシュールな絵作りが多い。
序盤で死刑が確定している運び屋たちがコンドームに入れて飲み込んだ覚せい剤を桶にひりだそうとしているシーンは、老若男女が情けない姿で力んでいるさまを淡々と写している。

その“シュールさ”の集大成とも言えるのが終盤のある場所での銃撃戦で、普段その場所に流れている穏やかな空気が主人公たちによってぶっ壊されていく様子が、状況の凄惨さをさらに際立たせていて最早えぐい。

アクションもサスペンスもふんだんに盛り込まれていて本当に退屈しない映画だ。
あまり大きなどんでん返しなどはないが、退屈しのぎにはなるのでは。

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